最近、資産運用本がやたら多いのに同じことしか言ってない件


近頃FIRE、米国株、資産運用なんて言葉の入った書籍をよく目にします。
「20代で1,000万貯める方法」だとか「30代でFIREする方法」だとか煽りタイトルばかり。
著者はたいていSNSのフォロワーやYoutuberのチャンネル登録者数が多いインフルエンサー
書籍の中身はググれば出てくる情報しかない。
「これに1,500円出す価値はないな」というのが私の素直な感想です。
本記事は、そんな量産型書籍の全体像をご紹介します。
あくまで全体像の紹介になり詳細は省いてますので、ご了承下さい。
詳細を知りたい方は各章で検索ワードを載せておきますので、個人でググってください。

1.対象読者

投資ってなに?そもそも投資がどんなのかがわからない人、
ちょっとだけ投資をしたことがあるけど最適解がわからない人向けに書いてます。

2.結論

結論から伝えると王道の投資とは下記のとおりです。

①支出を抑える
生活防衛資金を確保する
③浮いたお金をリスク資産と無リスク資産に分ける
④ネット証券口座を開設する
⑤リスク資産は全米株式または全世界株式のインデックスファンドに毎月決めた金額を購入する
⑥無リスク資産は高金利のネット銀行へ預金するか、個人向け日本国債を購入する
⑦つみたてNISA、iDeCoふるさと納税等の制度をフル活用する
⑧年1回リバランスする
⑨買った商品は20〜30年くらいの長期で運用する。ただし、大量の資金が必要になったら躊躇せず売る

以上です。
多くの書籍ではここまでやったら、投資金額を増やすために、
残りの時間は本業のスキルアップか、副業に挑戦しようと書いてあります。
ただし、書籍の中には保有資産の一部はリスクを取れと書いてある場合もあります。
これについては後述します。

次から各詳細を記載していきますが、その前に注意事項があります。
「投資は自己責任である。」
この言葉を念頭に入れてください。
本記事を実践して、もし損失が出たとしても責任は負いかねます。
最終的に自分のことは自分でしか責任を取れないことをしっかり認識してから始めてください。

3.詳細について

3.1.支出を抑える

支出は固定費から削ってください。
食費や娯楽費ではなく、毎月固定で発生する費用を削るのが定石です。
特に月1,000円以上削れる可能性があるところから手を付けてください。
具体的に削る例としては下記のとおりです。

①電気ガス代
②通信費
サブスクリプション契約
④保険
⑤家賃

中にはシャワーのヘッドを変えて節水だとか、
エアコンをつけずに電気ブランケットを使って電気代節約だとか紹介しているのもあります。
ですが、そこまでやるのは後回しにしてください。
節約はやろうと思えば極限までできてしまうし、それこそ次のステップに進めません。
大きな固定費の見直しが終わったら次のステップに進みましょう。
もっと節約したいなら一周終わってから戻ってくるようにしてください。

固定費の下げ方は下記で検索すれば出てきます。

①検索ワード:「電気ガス代 比較」
 →比較サイト(エネチェンジがおすすめ)に契約会社、プラン、月額料金を打ち込めば、
  より安いプランがないか探してくれます。

②検索ワード:「スマホ 通信費 比較」、「格安SIM 速度 比較」
 →まず毎月使う通信容量がどれだけか確認してください。
  スマホの場合は電話を毎月どのくらいかけるかもあわせて確認してください。
  最新の通信費を載せている個人ブログを参照し、通信容量、電話料金が適したプランを
  探してください。
  そのプランの通信速度を確認し、許容範囲内か確認してください。
  固定回線の場合は、検索ワードを「スマホ」、「格安SIM」から「固定回線」に
  変えるだけです。

③検索ワード:なし
 →直近1ヶ月で使ってないサブスクリプションがあれば解約してみること。
  特に解約しても困らないなら月いくらか生活費が浮きますし、
  ないと生活の質が落ちるなら再契約すればいいだけです。

④検索ワード:「いらない保険 本」
 →「いらない保険」という本があるので読んでください。
  いらないと判断した保険は解約しましょう。
www.amazon.co.jp


⑤検索ワード:「両学長 家賃値下げ」
 →「【10万円以上安くできる】賃貸物件をお得に借りるテクニックまとめ【保存版】」
  という動画で家賃を下げるテクニックが紹介されていますので視聴してみてください。
  今より家賃を値下げできるか調べましょう。
www.youtube.com

3.2.生活防衛資金を確保する

生活防衛資金とは、もしも収入がなくなったときに生活するための資金です。
まずやることは毎月の生活費を把握すること。
だいたい3ヶ月分くらい把握して平均金額を算出してください。
算出したら「金額×半年〜2年」分の生活防衛資金を常に銀行口座に入れておくこと。
銀行口座は日常生活用と生活防衛資金用で分けることをおすすめします。
一緒にするとついつい使っちゃったりしますので。
もしかすると半年〜2年とかなりブレがあると思う人もいるかもしれません。
これは書籍によって著者の性格にばらつきがあるので正解はありません。
(一番長いのだと4年と書いてある書籍も見たことあります)
あなたが次の収入を得られるまでどのくらい時間がかかると思うかを考え、
その検討結果を基に生活防衛資金を設定してください。

3.3.浮いた金をリスク資産と無リスク資産に分ける

生活防衛資金を確保した後、生活費を差し引いてから残ったお金を投資に回します。
投資に回すお金はリスク資産と無リスク資産に分けます。
名前のとおり、リスク資産はリスクに晒される、つまり元本が減る可能性がある資産、
無リスク資産はリスクに晒されない、つまり元本は減らない資産です。

投資の考え方としては、資本主義社会は右肩上がりで上昇し続け、
リスク資産は一時的には下落することがあっても20~30年後には
プラスになっていると想定した考え方です。
以下は1801年に当時の1ドルを株式、債券、ドル、金にそれぞれ投資したら、
200年後にいくらになったかを示すグラフです。

ジェレミー・シーゲル,『株式投資第4版』,日経BP出版,2009年

かなり有名なグラフなので、今後も投資の記事などで見かけるかもしれません。
見てわかるとおり、株式が群を抜いて上昇していることがわかります。
経済の話をし始めると長くなるので省略しますが、
ここでは「資本主義社会では株式がもっとも上昇していた」という
結果を知ってもらえればいいです。

私たちが生きている世界では現状、資本主義が最も優れた考え方であるため、
今後も資本主義が続くと想定されます。
そこでリスク資産は株式に投資することにします。

株式は短期的には利回りが乱高下しますが、
長期的には年利3~7%程度の利益が出るとされているため、
大半の書籍は長期投資をおすすめしています。
以下は1950年から2013年までの株式投資における投資期間と年平均リターンの
散らばり方について示したグラフです。

バートン・マルキール,『ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第12版> 株式投資の不滅の真理』,日本経済新聞出版,2019年

見てわかるとおり、期間が長くなるほど散らばりは小さくなり、
15年以上運用するとプラスになっています。
今後も15年以上運用すれば必ずプラスになるとは言い切れませんが、
長期運用によって散らばりが小さくなり、収束することは間違いありません。
ちなみに価格の散らばりが大きいことを専門用語で「ボラティリティ」と言います。


次にシミュレーションについて見ていきましょう。
以下は毎月3万円を年利5%で20年間運用できた場合のシミュレーションになります。

楽天証券 積立かんたんシミュレーション,     https://www.rakuten-sec.co.jp/web/fund/smartphone/saving/simulation/ ,2022/7/21

現金のまま保有していたら720万円でしたが、
株式に投資していたら20年で約1230万円になりました。
なぜこんなにも差が出るのかというと複利が働くためです。
複利とは利子にも利子がつくことです。
つまり、毎月3万円投資して発生した利益にも利益がつきますので、
年々差が開いていくということです。
ちなみに複利はマイナスにも働きますので、もし借金があれば早期に返済しましょう。
検索ワード:「複利とは」

リスク資産に関する説明は以上です。
次に無リスク資産は元本割れを起こさない商品を選びます。
今ならネット銀行の金利か、個人向け日本国債の利息を得るのが良いでしょう。
どちらも利回りの上下が緩やかでだいたい0.1〜0.2%くらいの金利が見込めます。

さてリスク資産と無リスク資産の分け方についてですが、
これは各人がどれくらいリスクを許容できるかによります。
投資ではよく「枕を高くして寝られるか」という格言があります。
これは資産が目減りしてもうろたえず、ぐっすり眠れるかどうかという話になります。
リスク資産に投じたお金は最悪、価値が50%下落する可能性があると考えてください。
(これからおすすめする商品はリーマンショックのとき、最大56.3%下落していたレベル
 ですので、決して非現実的な数値ではありません)

50%下落することを考慮した上で、リスク資産と無リスク資産を分けましょう。
例えば、生活防衛資金を除く資産の50%までなら半分になっても大丈夫なら、
リスク資産:無リスク資産=50:50となります。
大切なのは「枕を高くして寝られるか」です。
欲張らずにどのくらいの割合であれば、20年以上続けられるのかを考えてください。

余談ですが、リスクを取らずに高利回りを出せる方法はありません。
あれば100%詐欺だと思っていいです。
資産を増やすにはリスクが伴うことを心得ておきましょう。
もし1円でもリスクに晒したくないなら投資はするべきではありません。

3.4.ネット証券口座を開設する

リスク資産、無リスク資産を購入するために証券口座を開設しましょう。
ここで重要なのはネット証券であることです。
営業マンを仲介する証券会社は使わないことをおすすめします。
なぜなら彼らは投資のプロではなく、売りたい商品を買わせる営業のプロだからです。
彼らが投資のプロならそもそも僕らに商品を売らずに自分たちで運用して利益を出せばいいだけですからね。
(運用が安定しないから営業することで安定した利益を出しているってことですね)
彼らはあなたの資産運用には邪魔になる存在なので関わるのはやめましょう。

ネット証券のおすすめはSBI証券または楽天証券です。
他のネット証券でも構いませんが、他を選ぶ場合は
3.5項の商品を扱っているか確認してから開設するようにしてください。

ネット証券は通常1週間〜2週間程度で開設可能です。
また、開設時には「つみたてNISA」を一緒に開設するかと聞かれます。
つみたてNISAは年間40万円まで、つみたてNISAの枠内で商品を購入すると、
利益が出ても20年間は非課税になります。
(特定口座という通常使用する口座であれば利益に対して20.315%の税金がかかります)
お得な制度なので活用しましょう。

より詳しく調べたいなら
検索ワード:「ネット証券 比較」、「つみたてNISAとは」

3.5.リスク資産は全米株式または全世界株式のインデックスファンドに毎月決めた金額を購入する

いよいよ投資を始めます。
この項は特に長いですし、順を追って内容を理解してほしいため、
専門用語が多く登場します。
焦らずゆっくり時間をかけて、一つひとつ理解しながら読み進めてください。

3.5.1.投資信託を購入する

購入する商品は投資信託を選んでください。
投資信託とは大量の株式や債券等を一つにまとめたものです。
例えば、後述する「楽天VTI」という商品の中には
アップルやマイクロソフト、テスラといった名だたる会社の株式が含まれています。
楽天VTI」の場合は米国企業の約4000銘柄(銘柄は株式の名称のこと)が含まれています。
長期投資する場合は、「分散」するのが王道です。
なぜなら4000社のうち1社が倒産しても軽症で済みますが、
1社に集中投資してその企業が倒産でもすれば重症になりますからね。
よく分散されている株式を詰め込んだ投資信託を購入しましょう。

また、投資信託は運営会社によって定期的に構成銘柄を見直されます。
そのため、投資信託を購入すれば、あとは運営会社で運用してもらえます。
ただし、運営会社も営利企業なので信託報酬という費用が発生します。
信託報酬というのは管理費と思ってください。
購入した投資信託の何%かが差し引かれます。
なので当然、信託報酬は安く済ませるのが王道です。
所感ですが、信託報酬を年間0.2%を下回っていれば、優秀な商品といえます。
ちなみに信託報酬が多ければ丁寧に管理してもらえるとか、
そんなことはありませんので、安い商品を選びましょう。

あと購入手数料という購入するのに費用が発生する商品もありますが、
これからおすすめするような優秀な投資信託には
購入手数料は発生しませんので安心してください。

最後に余談ですが、投資信託と似た商品でETF(Exchange Traded Funds)という
上場投資信託があります。
ETFの方が信託報酬が安かったりといくつかメリットがありますが、
自分で再投資をやらないといけなかったりとやることも増え、
管理が面倒になりますので、多くの方は投資信託を選んでおけばいいです。

より詳しく調べたいなら
検索ワード:「投資信託とは」、「信託報酬とは」、「ETFとは」

3.5.2.購入する投資信託の種類

投資信託には2種類の運用方法がありますが、
次のうちインデックスファンドを選んでください。
①インデックスファンド
②アクティブファンド

インデックスファンドとはある指数に連動を目指して運用します。
指数とは例えば、日経平均225やTOPIXが該当します。
夜のニュースの終わりとかで一瞬紹介されるアレです。
インデックスファンドは指数に従って運用するだけですので、
大部分はコンピュータで処理できます。
そのため、人手がかからず信託報酬も安く済みます。

対して、アクティブファンドはある指数以上の成績をあげることを目指して運用します。
当然、人手がかかるので信託報酬が高くなります。
信託報酬が高くなってもその分好成績を出せばいいじゃんと思うのですが、
現実は7割のアクティブファンドは短期的にはインデックスファンドの成績に勝つことは
あっても、長期的には負けることがすでに実証されています。
残り3割を当てることができれば良いのですが、実際に当てることはかなり難しいでしょう。
(野球でイチロー並の成績を毎年継続して出せる選手を探すような感じです)
なのでインデックスファンドを選びましょう。

3.5.3.具体的に購入するインデックスファンド

前置きが長くなりましたが、購入する商品は下記から選んでください。

①全米株式の場合
 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
 SBI・V・全米株式インデックス・ファンド
 楽天・全米株式インデックス・ファンド(通称、楽天VTI)

②全世界株式の場合
 eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)
 楽天・全世界株式インデックス・ファンド(通称、楽天VT)

何が違うかというと米国に集中投資するか、全世界に分散投資するかの違いです。
分散が王道なので先進国、新興国等の世界各国に分散するのが理想ですが、
長年米国一強ということもあり、米国集中をおすすめする書籍も多いです。
現に世界分散したインデックスファンドでも構成比率の約60%は米国になっています。
下記はeMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)の国別の構成比率です。

三菱UFJ国際投信 eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー) , https://emaxis.jp/pdf/web/viewer.html?file=/pdf/koumokuromi/253425/253425_20220228.pdf ,2022/7/21

世界トップのGDPは米国、世界トップの軍事費を持っているのも米国、
イノベーションが生まれるのも米国とナンバーワンの国です。
これからも米国がナンバーワンであり続けると思うなら米国集中も良いでしょう。
米国に集中投資するか、全世界に分散投資するかはきのこたけのこ戦争並みに
永遠に終結しないテーマなので自分が信じられる方を選んでください。
どちらを選んでも正解だと思っていいです。

ちなみになぜ5つもインデックスファンドを紹介したかというと
近年、各運営会社は信託報酬を下げるなどして、
顧客獲得競争しているので商品の最新情報は常に変わっています。
購入前に各商品の成績を比較して一番好成績な商品を選んで購入しましょう。
厳選して選びましたので、どれを購入しても正解だと思っていいです。

より詳しく調べたいなら
検索ワード:「emaxis slim sbi v 楽天vti 比較」、
      「emaxis slim オールカントリー 楽天VT 比較」

3.5.4.ドルコスト平均法で購入する

最後に購入はドルコスト平均法で行います。
ドルコスト平均法とは毎月決まった額の商品を購入することで、
商品が下落した時は多めに買え、商品が上昇した時は少なく買えるという投資手法です。

例えば、1000円の商品を毎月10000分購入する場合、
下落して500円になったら20株、上昇して2000円になったら5株購入するという感じです。

より詳しく調べたいなら
検索ワード:「ドルコスト平均法とは」

証券口座が開設できたら積立設定を行います。
積立設定とは各証券に用意されている、毎月自動で購入してくれるサービスです。
自動設定しないと購入するのを忘れたり、「今月は高いからやめておこう」と
判断してしまったりと、ドルコスト平均法が機能しなくなります。
例えリーマンショックやコロナショック級の大暴落が再来しても
淡々と機械的に購入するのが王道の投資です。
なので積立設定をしましょう。
積立設定時には「受取型」「再投資型」が選べます。
複利を働かせたいので、「再投資型」を選びましょう。
積立設定はつみたてNISAから使い切るようにしてください。
非課税枠は毎年40万円と決まっておりますので、使い切った方がお得です。

3.5.5リスク資産のまとめ

長くなってしまったのでまとめますと、下記の一文になります。

よく"分散"されていて、"信託報酬が安い"、"全米株式または全世界株式のインデックスファンド"を"ドルコスト平均法"で毎月淡々と購入するよう積立設定する。

3.6.無リスク資産は高金利のネット銀行へ預金するか、個人向け日本国債を購入する

リスク資産に投じなかった運用資金で無リスク資産を購入しましょう。

無リスク資産は下記から選んでください。
①高金利のネット銀行
②個人向け日本国債(変動金利型10年満期)

まず高金利のネット銀行は調べたらいくつか出てきますが、
今日(2022/7/21)時点で一番金利の高いネット銀行は「あおぞら銀行」の金利0.2%です。
これは定期預金ではなく、普通預金に対する金利なので、
必要になったときにすぐに引き出せるのがメリットです。
他にもっと良いネット銀行がないか気になったら調べてみてください。

より詳しく調べたいなら
検索ワード:「ネット銀行 金利 比較」

次に個人向け日本国債(変動金利型10年満期)は国の債券(国や企業などが資金を
借り入れるために発行するもの)で、満期10年で利払日に購入した分の利息が振り込まれます。
債券は価値が変動します。
今日(2022/7/21)時点では金利0.22%です。
個人向け国債は最低金利0.05%保証されていますので、元本割れする心配はありません。
ただし、途中解約すると解約時の時価で計算されますので、
元本割れリスクが発生する可能性があります。
あらかじめご注意してください。

より詳しく調べたいなら
検索ワード:「10年満期国債とは」

書籍によって米国債券をおすすめするものもありますが、
米国債券の場合、為替リスクが生じますので、
無リスク資産とは言えません。
また、リスク資産で購入するにしても
管理するものが多くなってしまいますので、
多くの方は投資信託+現金(人によっては個人向け日本国債)で十分です。

3.7.つみたてNISA、iDeCoふるさと納税等の制度をフル活用する

国が節税に関する制度を作ってくれているのでフル活用しましょう。
つみたてNISAは前述しましたので割愛します。

iDeCoは20歳以上~65歳未満の人が加入でき、
掛け金を非課税で運用できる年金制度です。
掛け金は原則、65歳まで取り崩すことができないので、
資金の流動性はなくなりますが、老後資金の形成では役立つ制度です。
掛け金は今まで紹介してきた投資信託などの購入に割当て、
運用していくことになります。

より詳しく調べたいなら
検索ワード:「iDeCoは」

ふるさと納税は自分が住んでいる自治体以外にお金を寄付することで、
返礼品がもらえる制度です。
寄付金は所得税または住民税で支払う税金から控除され、
自己負担額は実質2000円で済みます。
控除される上限は年収によって異なりますので、
詳しいことは調べてみてください。
検索ワード:「ふるさと納税 計算」

返礼品は食べ物から日用品まで様々なものがありますし、
2000円以上の返礼品がたくさんありますので、
会社員だったらやっておいた方がお得です。

より詳しく調べたいなら
検索キーワード:「ふるさと納税とは」

最後に大企業で働いている人は福利厚生を確認してみると良いです。
例としてグループ保険が用意されていて安く加入できるといったメリットがありますので、
一度確認してみることをおすすめします。

3.8.年1回リバランスする

リバランスとは自分が最初に決めた商品のリスクからズレが出たら
売って最初に決めた元に戻すことです。

例えば、投資信託:個人向け日本国債:現金=6:2:2で考えていたが、
運用しているうちに投資信託が上昇したなどで
投資信託:個人向け日本国債:現金=7:2:1になったとしたら、
投資信託を売って投資信託:個人向け日本国債:現金=6:2:2に戻す感じです。

リバランスを行うことで、最適な構成比率を保ち、リスクの上昇を防ぐことができます。
ちなみに金融商品の組み合わせのことを「ポートフォリオ」と言います。
この例なら投資信託60%、個人向け国債20%、現金20%のポートフォリオを呼べます。

より詳しく調べたいなら
検索ワード:「リバランスとは」

3.9.買った商品は20〜30年くらいの長期で運用する。ただし、大量の資金が必要になったら躊躇せず売る

リバランスするタイミングは除き、買った商品は売らずに
長期運用(20年以上)してください。

ただし、マイホームや車が欲しい、子供が生まれる資金にしたい等の
ライフイベントが発生した場合は躊躇せずに売ってください。
お金は使うためにあるのですから。

4.投資信託の積立設定をした後

投資信託を積立設定した後にやることは年に1回を見直すだけです。
あとは人生を楽しみましょう。
え?と思われるかもしれませんが、一度積立設定したらもうやることはほとんどありません。
やることは、前述したリバランスと、より安い信託報酬が設定された投資信託が出たら
積立する投資信託を変更するくらいですね。

まれに保有資産の一部にリスクを取れと書いてある書籍もあります。
これは「コアサテライト戦略」と言って、運用する資産を
コア(核)とサテライト(衛星)に分けて運用する方法です。
コアに前述した投資信託を購入し、サテライトで大化けしそうな企業の株式や
ビットコインみたいな暗号資産などを購入する感じです。
ただし、個人的にはやらなくていいと思います。
3.5.2項に書いたとおり、投資のプロですら20年で3割以下しか勝てない世界です。
私達、素人が勝ち続けるなんてあまりに難しい世界ですので、
やるなら資産運用と切り離してマネーゲームというギャンブルでやりましょう。
ちなみに短期間で大きなデメリットを承知で、
利益を上げようとする取引を「投機」と言います。
「投資」と「投機」の違いは、はっきりさせておきましょう。

他には積立が終わったら本業のスキルアップか、
副業に挑戦しようと書いている書籍もあります。
こちらのほうがよく見ますね。
こちらは私も同意で新しいことに挑戦することで人生が豊かになると思います。
もちろん、スキルアップ以外にも人生を豊かにする方法はいっぱいあるので、
自分の好きなことをして過ごしていきましょう。

最後に積立は無理のない金額を設定しましょう。
年老いたときに金持ちになっても使い道がなかったら空虚な人生になってしまいますからね。
若いうちに欲望に優先順位をつけつつ、やりたいことにお金を使うことを大切にしてください。

投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェット氏の名言で本項を締めくくりたいと思います。

履歴書に箔を付けるために仕事をするなんて、セックスを老後の楽しみにしようと取っておくようなものだ。

5.FIREについて

ここまで本当にお疲れ様でした。
この項はおまけですので、流し読みで大丈夫です。

資産運用し始めると必ずといっていいほど「FIRE」というワードを
目にするようになると思うのでここで紹介しておきます。
FIREとは、Financial Idependence, Retire Earlyの頭文字を取ったもの。
意味は「経済的自立と早期リタイア」です。
セミリタイアとは同義で使われています。
要は若いうちにたくさん稼ぎ、稼いだお金を株式や債券といった資産に突っ込み、
毎年資産を取り崩してあとは自由な生活を送ろうというコンセプトです。
資産運用だけで生活できて働かなくていいので、今若者の間でブームになっていますね。

やることは簡単で1年間に必要な生活費を計算し、計算結果の25倍した資金を確保する。
そして確保した資金で米国株式(インデックスファンド)と、米国債券を購入するだけです。

例えば、年間200万円の生活費が必要なら25倍の1億円を用意して
50%である5,000万円で米国株式を、残りの5,000万円で米国債券を購入する感じです。

これはアメリカのトリニティ大学の研究結果によって有効性が発表されており、
以下のとおり毎年資産の4%を定額で取り崩しても、株式比率が50%を超えていれば、
30年後も95%の確率で資産が残ります。

By Philip L. Cooley, Carl M. Hubbard and Daniel T. Walz, Retirement Savings: Choosing a Withdrawal Rate That Is Sustainable, https://www.aaii.com/files/pdf/6794_retirement-savings-choosing-a-withdrawal-rate-that-is-sustainable.pdf ,AAII Journal—February 1998

この論文は「トリニティスタディ」と呼ばれます。気になったら調べてみてください。

ただし、トリニティスタディアメリカの研究結果ですので、
日本の税制や為替リスクが考慮されていないため、
そのまま日本人に当てはめるのは難しいです。
個人的にはFIREという概念もあるのだなと頭の片隅に入れておく程度で良いでしょう。
(もし本気でFIREしたいなら資産運用ではなく、本業や副業でとにかくお金を稼ぐのが大切です)

より詳しく調べたいなら
検索ワード:「FIREとは」、「トリニティスタディとは」

6.まとめ

ここまで読んでくださりありがとうございました。
今回は王道の投資方法について解説しました。
多くの方はこの王道の投資方法をやっておけば問題ないでしょう。

おさらいしておくと王道の投資は下記のとおりです。
①支出を抑える
生活防衛資金を確保する
③浮いたお金をリスク資産と無リスク資産に分ける
④ネット証券口座を開設する
⑤リスク資産は全米株式または全世界株式のインデックスファンドに毎月決めた金額を購入する
⑥無リスク資産は高金利のネット銀行へ預金するか、個人向け日本国債を購入する
⑦つみたてNISA、iDeCoふるさと納税等の制度をフル活用する
⑧年1回リバランスする
⑨買った商品は20〜30年くらいの長期で運用する。ただし、大量の資金が必要になったら躊躇せず売る


ただ、ここまで読んでいただいておいて言うのはアレですが、
資産運用には正解はありません。
インデックスファンドは20年以上保有しても年利3〜7%ほどです。
もしあなたがお金持ちになりたいならリスクを承知で1社の株式に集中して突っ込んだり、
ビットコインみたいな新しい商品に突っ込んだりして年利数十、数百%を狙う必要があります。
悲しい現実ですが、ただの会社員では、インデックスファンドを
積み立てるだけでお金持ちになることはできません。
お金持ちになるには本業で成功するか、投機で成功するか
どちらかでリスクを取る必要があります。

話が脱線してしまいましたが、何が言いたいかというと、
あなたが資産運用する目的は何かを明確にしてください。
ネット社会には高利回りの投資話を餌に
あなたの金銭を蝕みにくる悪魔たちがあります。
自分はこういう目的を持っているからこういう資産運用をするんだ!
インデックス投資が有利なのはデータが証明している!
と自信を持っていれば、そんな悪魔たちを追い払うことができるでしょう。

そして最後にもう一度、「投資は自己責任である。」
この言葉を忘れずにおいてください。
自由に生きるには自分の人生に責任を持つ必要があります。
皆さんはどうですか?人生に責任を持つ覚悟はできていますか?




7.読んでおいて損のない書籍

最近出ている書籍は名著と呼ばれる書籍を焼き回しているものが多いです。
そんな中でも下記の書籍は読んでおいて損はないので、ここで紹介しておきます。

7.1.難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください。
超超初心者向けの一冊。
資産運用だけでなく保険も含めた内容が体系的に書かれています。
ちなみに私がタイトルに一本釣りされて初めて買った投資本
www.amazon.co.jp


7.2.お金は寝かせて増やしなさい
初心者にも読みやすい一冊。
資産運用に特化して書かれています。
www.amazon.co.jp


7.3.ウォール街のランダム・ウォーカー
本当にインデックスファンドを買うだけでいいのか信用できない!
データを用いて示してほしい!そんな人向けの一冊。
とっても分厚いので覚悟して読んだ方がいい。
www.amazon.co.jp


7.4.敗者のゲーム
ウォール街のランダム・ウォーカーと並ぶ名著。
インデックス投資に特化して書かれています。
www.amazon.co.jp


7.5.FIRFE最強の早期リタイア術
FIRE本の中では一番まともな一冊。
FIREしたのに本出したり、講演したり働いているじゃん!
正直FIRE民には不可解なところが多いのでFIRE本はおすすめしない。
www.amazon.co.jp